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極楽地獄 3

2011/12/11 Sun 12:51

人は死んだらどうなるのか? ということを考えました。
これは僕の願望がかなり色濃く出ちゃった「死後の世界の予想」です。
冒頭から何のことか分からない人は、12/5の記事から読み始めるか諦めるかしてください。
面倒くさくてアレですが…よろしくおねがいします。




花見 上野公園. Hanami, Ueno park. Tokyo Japan 東京 日本 / aginorz



「私」は気がつきます。
極楽はいつまで経っても春だった━━と。
満開の桜は、儚げに散り続けて幾年月。昼と夜の区別もない。
おそらく時間の流れというもいうものがないのだろう。
山海の珍味は喰っても喰っても減らず、
私が秘かに命名した極楽大吟醸も絶対になくならない。
「おいしいですね」
隣の亡者が私に言う。
「いやあ、おいしいですね」
「桜がきれいですね」
極楽の住人はみな、口々に桜を賞賛し続けます。
生前日本人であった私は、何度も繰り返したこんな会話も「きれいですね」と答えてしまう。
本当はもう飽きている。満開の桜も山海の珍味も何杯も飲んだ名酒も、もう十分だ。見たくもない。
喰ったり飲んだり誉めたりなんてまっぴらご免だ。

白い花びらがぴらぴらと飛ばされてきて、黒漆の椀の酒にいやらしく浮かんだとき━━。
我慢の限界。
誰かひとりぐらい別の話はできないのか。
他人の悪口、芸能人やスポーツ選手・大企業のスキャンダルに下世話な下ネタ。できないのならば私がしてやろうか。
「これが旨いあれが美味しい」「桜が美しい」「幸せですね」
なんて話で何年花見しているんだ!
私の堪忍袋がぱんぱんに膨らむと、向かいに座る死人が例の1メートル箸で河豚刺しを2~3枚つまみ、またも私の口へねじ込む! 実に親切だ!
口の中のものをぐっと飲み込み、自分のとっても長い箸をひと組掴んで私は片膝を立てる。間髪入れず空いている方の手で目の前の懸盤を払い除ける。
おもちゃのような音を立てて皿や椀や懸盤、銚子などが毛氈の内外に弾ける。
極楽中の死者がこちらを振り向く。
花びらは舞っている。
しかし「私」はそんなことを感じる間もなく腕を振り上げ、とっても長い箸を向かいの死者の首筋に差し込むのです。
二本のとっても長い箸は首筋から胸に向かって斜めに20センチほど刺さって、「私」の握りこぶしのところでやっと止まります。

刺された死者は目を丸く開いた後、その目をそっと閉じます。死んだのです。
まわりの亡者たちは、いかにも驚いたという表情で目を剥いた後は「困ったやつだ」とでも言いたいような、鼻白んだような顔で「私」を見ています。
それを頬やこめかみで感じながら、勢い良くとっても長い箸を抜くのです。噴水のように血潮が飛ぶかもしれないという期待。

抜いてみると傷口は数字の8か雪だるまのような形。
そして期待に反して、どろっとしたどす黒い血が一筋流れるだけ。
しかしそれは死装束を、襟口から胸まで真っ赤に染めていきます。
どうだ! 血は吹き出なかったけどこれほどショッキングな出来事はないだろう。私の行動について何か言ってみろ前たち!
箸を引き抜いて血が出るのを確認すると、「私」はしっかと立ち上がります。極楽の住人たちの反応が見たいのだけれど、目にするのは入口から白い坂を登ってくる四人の男。
その男たちは無言で坂を駆け上がると二手に分かれ、その一方が「私」の背中につきます。
そして二人で左右から肩を掴むのです。
もう一方の二人は、「私」に刺された死者の様子を伺います。
様子といっても座ったまま首から血を流して目を閉じているというだけなんだけど。
そして、僕はその二人の男に引きずられて極楽を後にします。
退屈極まる、地獄のような場所。


つづく


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